1級建築士が教える!高気密高断熱の家とは|水井装備

1級建築士が教える!高気密高断熱の家とは

高気密高断熱住宅とはどんな住宅の事をいうのでしょうか?

高断熱について・・・

高断熱の基準とは今どうなっているのでしょうか?断熱性能は、日本の北から南までそれぞれ数値が違います。

それは、北海道・東北など一般的に寒いとされる地域では、より高い断熱性能が必要とされていますし、比較的暖かいとされている、南の地域では、北の地域よりも緩い断熱性能になっています。

高気密について・・気密とは、隙間を極力抑えて、建物の無駄な隙間を無くすことです。

建築基準法で24時間換気が義務化以降、高気密について数値化がされていました。東北や北海道では隙間相当面積2㎠/㎡とかそれ以南は5㎠/㎡とか。。

しかし今では指標となる数値もなくなり、各社、気密についてはそれぞれになっていますが、現在では高気密の基準が最低でも1以下でさらに0.5以下が望ましいと考えています。

気密が取れていなければ、取れていないほど、どこからか漏気が出入りし換気にとって悪影響を及ぼすからです。

気密が良く換気がしっかり働いていると、24時間365日計画的な換気ができ、人の呼気や住器のよる廃熱、臭気などを排出し、いつでも新鮮な空気を定期的に取り入れることができ快適に過ごすことが出来ますし、無駄な漏気によるエネルギーロス、壁や天井の内部などへの湿気の流入、内部結露を防ぐことも出来ます。

高気密についてさらに詳しく知りたい方は、別記事「C値とは?高気密住宅の知っておきたい基礎知識」をぜひご覧ください。

高気密高断熱住宅の確認
高気密高断熱とはそもそもどのような事なのか、まず確認しておきましょう。

高気密高断熱住宅のメリット

高気密高断熱住宅といえば、皆さんよく聞く「夏涼しくて。冬暖かい」というメリットがあります。

これは、70年代~90年代前半くらいまでの在来の木造住宅に比べると格段に違います。

平成11年基準の高気密高断熱基準(省エネ性能の基準)と平成25年の高気密高断熱の基準(省エネ性能の基準)はもう一昔前の基準として考え、さらにその先の高気密高断熱住宅の基準(省エネ性能の基準)を、目安に高気密高断熱住宅を検討していった方がベターでしょう。

さらに、高気密高断熱住宅を建てることにより様々なメリットが自然とついてきます。

①高気密高断熱住宅は、外気温の影響を受けにくい

これは、わかりやすく言うと、魔法瓶のようなもので、氷をいれた冷たい飲み物を魔法瓶に入れておけば、その冷たさが長く続き、熱い飲み物を入れておけば熱いまま、身体があったまる飲み物をいただけますよね。

つまり、高気密高断熱住宅は保温力があるのです。

②保温力があるということは、冷暖房の効率が格段に良いということ

冷房で冷たくした空気は、外気温の影響を受けづらく、温まりにくく、暖房で温めた空気は冷めにくい。ということは、冷暖房の効きが良く、冷暖房費の削減に役立ちます。

さらに、外皮(窓・天井屋根・床・壁)からの輻射的な熱の出入りも少ないので家全体の温度ムラもなく、夏場26℃~28℃設定くらい、冬場22℃~23℃設定くらいで快適に過ごすことが出来ます。

③ヒートショックの危険性が格段に減少する

最近よく耳にする「家の中でのヒートショックによる事故」自動車事故での死亡数が減少する中、家内での事故死亡数の方が自動車事故死亡数よりも3倍にも4倍にもなっております。

これでは家に帰ってくれば安心と思っているところが、逆に家は危ないとすら感じてしまうようになるかもしれません。

この死亡原因は、夏場の家の中での熱中症や冬場のお風呂ので急激な温度変化による血圧・血流異常、夜中のトイレでの急激な温度変化によるヒートショックが原因です。

日本の昔の住宅は、夏をどう過ごすかの方に重点をおいて建築され、風通しよく、日射の流入をどう防ぐかを考え創られることが多かったので特に断熱についてのことは考えていませんでした。

しかし時代が変わり、気候も変動し30年40年前とは全く違う事になっている上に、住宅についての研究も進み高気密高断熱についての重要性が立証されてきています。

その他、計画的な効率の良い換気ができたり、防音効果が高くなり、屋外の騒音が聞こえづらかったり、屋内の音が漏れづらかったりと、様々なメリットがあります。

高気密高断熱のメリット
見た目には見えないところで、住みやすい工夫がたくさん詰まっています。

高気密高断熱住宅のデメリット

① インテリアや外装と違い、お金をかけた分、見た目にわかりにくい

一般的に高気密高断熱住宅は、建築コストが一般住宅よりも高くなります。

見た目に分かりやすいインテリア、外壁、水回りなど毎日目にする部分が一般的な住宅と同じでも、壁の内部や天井の中、床下など普段見えないところにお金がかかる事がその要因です。

そうなると、住む前の住宅購入時には、比較判断が難しい部分になるでしょう。

そのような場合には、すでに住んでいる方にご相談したり、現場見学会にいってみたり、本物を見てみることをお勧めします。

② 高い施工品質が求められる

高気密高断熱住宅は、ただただ箱を組み立てていくのではありません。しっかりとした知見、施工技術が必要となり、施工業者選びが重要になってきます。

高気密と高断熱は別物ではなく一体です。断熱はコストを掛ければ、いくらでも性能の良い断熱材を入れることができますが、断熱材をただ壁の中に入れるだけでは、コストをかける意味がありません。

断熱材を丁寧に入れ、しっかりとした施工での気密処理が重要になります。

高い性能の住宅を手に入れようとするならば自分自身も情報収集をして勉強をしましょう。

③ 室内の音が少し響くように感じる

メリットの方でもお伝えしましたが、高気密高断熱住宅は、音を遮る効果も期待できます。

屋内の音を外に漏らさない。屋外の音を中に入れない。など良い面もありますが、室内に音が残るので、室内~室内(家の中)での音の響きを多少感じる可能性は否定できません。

家具や、カーテンなど、家財を置けば、それに音が吸収され軽減もされます。

④ 換気が重要になり、定期的にフィルターなど清掃を 

高気密高断熱住宅は換気システムが重要になり、建築基準法でも設置が義務化されています。

通常ですと家の中のすべての空気が1時間に0.5回(2時間に1回)入れ替わるように動くようになっており、換気システムが正常でないと家の中の空気が淀んで、健康被害が出る可能性も少なくありません。

住んでいて窓を開けないこともないと思いますし、ある程度の空気の入れ替わりはかならずあるので、窒息するなんてことはほとんどあり得ませんが、新鮮な空気を常に入れ替えていかないと汚くなった空気がよどみます。

これは気密性が高いがゆえのデメリットと言えるでしょう。

また他にも空気を汚す原因として、建材や接着剤から発生するVOC(揮発性有機化合物)の問題もあります。後から購入する家具については、最低限でも基準をクリアしたものを購入するように気をつけましょう。

⑤ 開放型の燃焼機器(石油ストーブや石油ファンヒーター(FF式でないもの))は使用することができません。

焼型暖房設備の内、特に開放型の石油ストーブは二酸化炭素の排出量がダントツに多いので、高気密高断熱住宅で想定している換気量では追い付かなくなる可能性があります。

暖房機器なら何でも良いというわけでなく、空気を汚さないような暖房機器の選定が必要です。

デメリットとして記載させてもらった事項ですが、①~⑤までしっかりと気にして建てていただいたり、建てた後に気にして清掃や器具選びをしてもらえれば、末永く快適な住まいに住み続けることができます。

多少専門的になってしまう部分については、信頼できる住宅会社さんに気軽に相談できるようにしておけば、満足できる家づくりができるでしょう。

そのためにも、建てる前の住宅会社さん選びは、重要な作業になってきます。

高断熱高気密住宅のデメリット
高断熱高気密住宅のデメリットも分かった上で選びましょう。

なぜ高気密高断熱住宅なのか

そもそもなぜ高気密高断熱住宅なのでしょうか?

皆様の中には、昔ながらの日本家屋が良いと思う方もいると思います。

もちろんそのような住宅を建てることは現在でも可能ですし、建てる地域、建てる敷地によっては、その方が快適に過ごせるかもしれません。

しかし、今、住宅地のほとんどは区画化され、都市計画法や建築基準法など諸々の法規制で一般的な住宅は(細部は別として)大きく見ると規格化されています。

そして、さらにこれから改正される省エネについての建築基準法(省エネ改正)の改正も、高気密高断熱住宅でないとクリアできてきません。(小規模な建物については現在は努力義務)

2011年の震災以降、国のエネルギー問題に拍車がかかり、住宅部分のエネルギー消費についても削減にさらに力を入れるようになったこともあり、省エネルギーな住宅を創るためには、高気密高断熱住宅が必須となります。

実は高気密高断熱住宅だけではダメ

高気密高断熱住宅についてのメリット・デメリットを示した上で、これから住宅を建てる方には「高気密高断熱住宅がマスト」だとお伝えしてきましたが、実は高気密高断熱住宅は建物基本性能としてはマストなのですが、それだけでは、モッタイナイのです。

しっかりと建てる敷地の事を考え、太陽の向き(日影)、周囲の環境、風の採り入れ方、日射遮蔽や日射の取得を考え、自然採風による温度差の換気などパッシブな考え方もとりいれて住宅つくりをしていきましょう。

高気密高断熱住宅
建物の性能+敷地のことを考えた住宅つくりが大切です。

まとめ

この「高気密高断熱住宅」は、文言として成立しているだけではなく、しっかりとした根拠の計算をします。

具体的には断熱性能の数値、気密性能の数値、一次エネルギー消費量の計算の数値、日射取得の数値などでしょうか。

逆にいうと、目標とする性能値を設計段階で決定し、その性能値を出すための設計プランをしていきます。

そのようにすると後付けでの性能値ではなく、目標とされた性能値にすることができるのです。

どうしてそこまで「高気密高断熱住宅」にこだわるか、

それは、僕が高気密高断熱住宅で一番のメリットだと感じる、「いつまでも心身ともに健康にいられる」という財産を手に入れる可能性が高くなるという点です。

これは、人生を豊かに過ごすには欠かせない要件の一つだと思います。せっかくの一生に一度の家づくりですので、ずっと末永く快適に過ごせるお家をつくっていただきたいです。

高気密高断熱住宅の基礎知識からメリットやデメリットまで、ご購入を検討されている方のために詳しくまとめています。また、なぜ高気密高断熱住宅が薦められるのかを1級建築士の目線で解説しています。

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