介護予防って何をすれば良いの?取り組み方と住環境の大切さ

介護予防とは
介護予防とは、高齢者が要介護状態になることをできる限り防ぎ(遅らせ)、今ある心身の機能を維持・向上させることを目指す取り組みです。
引用 厚生労働省が発表する「介護予防について」
URL: https://www.mhlw.go.jp/topics/2009/05/dl/tp0501-1_01.pdf
単に病気を予防するだけでなく、高齢者自身の生きがいや社会参加を支援することで、生活の質を高めることを目的としています。
一人では難しい介護予防
介護予防は、本人だけで頑張ってできるものではありません。
周囲の人、家族、医療介護関係者、の理解や協力、地域連携で取り組む「地域包括ケアシステム」の構築等が必要となり、地域包括ケアシステムは、住民が主体的に参加し、自らが担い手となって、地域全体で取り組むことによって相乗的に効果を発揮します。
年を重ねるに連れて体力が落ちていったり、配偶者を失ってしまい、お一人での生活を余儀なくされるなど、様々な事情があると思います。
当然、それぞれの事情によって協力の仕方も変わって来ると思いますが、予防という観点から考えると手を出しすぎるのも考えものです。
例えば『ご高齢の方にやってもらうのは悪いな』という気持ちや、『時間がかかるな』『心配だからこちらでやってしまおう』などといった思いから、ご高齢の方々に何も役割を与えず、至れり尽くせり何でもやってしまうのは逆効果と言えるでしょう。
本人が、生きがいや役割をもって社会参加することが、結果的に介護予防につながると考えられています。
市区町村が行っている介護予防
介護保険法は、加齢や疾病によって要介護状態になった人々に対し、必要な保健医療サービスと福祉サービスを提供することを定めた日本の法律です。高齢者やその家族を支援します。
この法律に基づき、2000年4月から介護保険制度が施行され、介護を社会全体で支える仕組みが確立されました。
この法律の目的は、高齢者の心身の健康を保持し、生活の安定を図ることで国民の保健医療の向上と福祉の増進に寄与することを目指しています。高齢者の介護を社会全体で支えます。
介護保険サービスを利用するには、まず市区町村に申請し、「要介護認定」を受ける必要があります。
主なサービスとしては、訪問看護やデイサービス、福祉用具のレンタルから、介護老人福祉施設などの利用になります。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/gaiyo/index.html
その他市町村が行っている介護予防への取り組みに「介護予防・日常生活支援総合事業」というものがあります。
この事業は、従来の介護保険サービスとは異なり、市町村が地域の実情に応じて、独自にサービスの内容や基準を設定できるのが大きな特徴です。身体機能の維持や向上以外にも、高齢者自身が何からの割合を担いながら、家庭や地域の中で生活することも目的としています。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000192992.html
介護保険法に基づくサービスや介護予防について相談したい場合は、お住いの市区町村の窓口または地域包括支援センターに行くのが良いでしょう。介護サービス利用の申請や、介護予防プログラムへの参加、専門家への橋渡しなど、すべての相談の総合窓口になっています。
介護しやすい住環境
介護しやすい住環境を整えることは、要介護者の自立を助け、介護をする人の負担を軽減するために非常に重要です。
ここでは「安全性の確保」「移動のしやすさ」「生活のしやすい間取り」の3つの観点からポイントを説明いたします。
安全性の確保
転倒は高齢者の怪我の原因を多く占めます。そのため徹底した予防が必要となってきます。
段差の解消(バリアフリー)
玄関、廊下、居室、浴室、トイレ・・・家中のすべての段差を解消。床をフラットな状態にします。
手すりの設置
立ち座りの動作が必要な場所(トイレ、浴室、玄関等)に設置します。廊下や階段も、身体を支えたりバランスを取ったりするのに手摺りは必要です。
トイレやお風呂は、縦型と横型の手摺りを合わせて設置すると、立ち上がりや移動の両方に対応できるのでおススメです。
滑りにくい床材の使用
水にぬれやすい浴室や洗面脱衣所は、水はけが良く滑りにくい床材を選びましょう。 居室も滑りやすいフローリングもあるので、カーペットや畳を選ぶと良いと思います。
適切な照明にする
廊下や階段などは、足元がはっきり見えるように十分な明るさを確保しましょう。夜間のトイレ移動のために、人感センサー付きの照明を設置すると安全です。
バリアフリーについて詳しく知りたい方に向けた「一から学べる!バリアフリーについて知っておきたいこと」という記事もございます。気になる方はこちらからhttps://mizuisoubi.com/useful/46/
移動のしやすさ
要介護者の自立を促し、介護する人が安全に介護できるスペースを作りましょう。
通路幅を広くする
車椅子での移動や、介護する人が付き添って歩くことを想定すると、廊下は最低でも78センチ以上の幅が必要となります。ドアは開閉が楽な「引き戸」を基本に、開口幅も広くとりましょう。
十分な介護スペース
浴室、トイレ、寝室など、介助が必要な場所は適切な広さが必要です。車椅子が回転できる広さがあるのが理想です。
玄関アプローチ
スロープの勾配は緩やかにし、車椅子を押しやすいように配慮しましょう。
生活のしやすい間取りと設備
要介護者の自立を尊重し、日々の生活動作を楽にできる間取りを考えましょう。
寝室の配置
リビングや日当たりの良い場所の近くに寝室を設けるのが理想です。要介護者を孤立させないようにします。1階に寝室と生活に必要な設備(浴室やトイレ)を集約することが理想です。
キッチンや洗面台
車椅子でも使用できるように、シンクやコンロの下のスペースをあけたり、高さを調節できる昇降式の洗面台の検討も。
スイッチやコンセントの位置
車椅子やベッドから手が届きやすいように、低い位置に設置するようにしましょう。ドアノブなども握力が弱くても操作しやすい「レバーハンドル」に。
住環境の整備は、介護保険の住宅改修費の支給や、自治体の補助制度を利用できる場合がありますので、ケアマネージャーや工務店に相談しながら進めましょう。
日本の高齢化について
介護予防について考える際に、避けて通れない問題に「日本の高齢化」が挙げられます。日本の高齢化について特に注意しなくてはならない課題は何でしょうか?3つの側面から考えてみます。
社会保障と財政への影響
高齢者は医療や介護の利用頻度が高いため、社会全体の医療費や介護費が急増します。これらを賄うために、現役世代の保険料や税負担が増加します。高齢化だけでなく、少子化も伴えば、保険料を納める世代も減少することに・・・
また、介護や医療の需要が高まる一方で、その担い手となる人材が不足することは深刻な課題となります。
経済と労働力への影響
労働力が減少するということは、企業の生産性維持や経済成長が困難になります。そのため、健康で意欲のある高齢者が、定年延長や再雇用制度を活用して働き続ける環境整備も必要になってきます。これは、労働力不足の解消と高齢者自身の生きがいにもつながってくるでしょう。
高齢者の生活環境と福祉
高齢者が孤立せず、安心して暮らせるコミュニティの維持はとても大切です。
地域のコミュニティが崩壊しないように、高齢者の見守りや助け合いといった「互助」の機能が弱くならないような注意が必要でしょう。
※互助(ごじょ)とは、家族や友人、近隣住民など、個人的な関係にある人々がお互いに助け合うこと。
また、「生活弱者」や「買い物難民」といった日常生活に必要なサービスが受けられない高齢者の増加にも注意が必要です。移動手段の確保や地域のコミュニティの強化が求められます。
健康寿命とは
健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことです。単に長生きするだけでなく、自立して活動的に生活できる期間を延ばすことが、現代社会の大きな目標とされています。
日本人の平均寿命と健康寿命の差は、2022年のデータによると男性で約8.5年、女性で約11.6年となっています。
この差は「健康上の問題で、日常生活が制限される期間」を示しています。この期間は医療や介護が必要となる可能性が高いとされています。
厚生労働省の公表データはこちらから
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/hale/h-01-002
課題と目標
平均寿命と健康寿命の差は、男女ともに10年程度あります。この期間を短くすることが、日本の高齢化社会における重要な課題です。
健康寿命を延ばすことと、平均寿命と健康寿命の差を縮小することが目標の一つです。
介護予防の方法(参考)
趣味は介護予防の主要な柱である「運動」「栄養」「社会参加」のすべてに良い影響を与えます。高齢者の心身の機能維持と生活の質の向上には不可欠です。
ですが、育児や家事、仕事に忙しく、趣味を持つような時間が取れてこなかった方も多くいらっしゃると思います。
そのような方々に介護予防にも役立つ活動をご紹介します。
散歩・ウォーキング
一人で目的なく継続的に歩くというよりは、仲間や家族と一緒に行うとのがおすすめです。
歩くことに慣れてくれば、自然豊かな場所でのハイキングなどにも挑戦してみると、張り合いもできます。季節の変化を感じたり、景色を眺めたり、すれ違う人とあいさつを交わすことも五感や脳に刺激を与えます。
歩行は、太ももやお尻など、下肢の筋肉をバランスよく使うので、筋力の衰えを防ぎ、立ち上がりや階段の昇り降りといった二次上生活に必要な動作能力の維持に役立ちます。
ラジオ体操
最近はラジオ体操を行う自治会も少なくなってきましたが、毎朝、少しでも決まった時間に顔を合わすことがあると、友達同士で健康を気遣う事や顔を出さないと気にかけてもらったりすることが日常となり、自然と健康を維持できる期間が長くなります。
みんなでおしゃべりやお茶会
何か共通の事を行った後に共通の話題をみんなでおしゃべりするのは楽しいものです。言葉を声に出すということは刺激になります。
おしゃべりだけでなく、そこで共通のお茶を飲んだり、軽食を食べたり、一緒にお茶の準備をしたり、片づけたりと、元気でいなくては・・と気づくことができます。
ボランティアサポーター
最初は、少し高いハードルかもしれませんが、お互いが必要となる存在に変わってくるので何にも代えがたい活動になります。必要とされることで自分の健康にも自然と気を遣うようになるケースが多いです。
フィットネス
有料会員制のフィットネスジムなどは、健康機材もそろっており、優しいインストラクターさんもいるので、楽しく自分のペースで運動ができます。
最近では、ご高齢者向けのプランなども揃っているところもあるので、多少、お金はかかりますが、健康には変え難いですよね。
レクリエーション
グラウンドゴルフやマージャン、将棋など、みんなで身体や頭を使うコミュニケーションもおすすめです。教え合ったり、勝ち負けがあるものは、向上心やモチベーションを維持することができるので、心も身体も若くいられることが期待されます。
手芸
手先を使うことはとても介護予防に役立ちます。バザーやマルシェなどに出店すれば、さらにやる気の源になるでしょう。
手芸と聞くと女性をイメージしがちですが、男性でも手芸を楽しむことができると思います。
口腔ケア(口の健康)
お口の中の健康はとても大事です。人間は原則、口からしか栄養が取れません。また、食事を楽しむことができなくなるということは、精神的にもかなりのダメージになってしまいます。日ごろからの口腔ケアとお口の体操、おしゃべりなどで口の筋肉を動かすことは介護予防にとってとても大事です。
子どもの見守り
これは、ボランティアサポーター的な行動でもありますが、地域で必要とされる大事な役割です。子供の親世代は働き盛りのため、なかなか子供の登下校時の見守りができないのが実情です。
子供の見守りは社会の中ではとても重要です。子供の安全を確保しながら、自分自身の身体の健康、心の健康にもつながるので、ぜひ、周囲の方々の一押しと勇気ある一歩で介護予防につなげてみませんか。
地域の美化活動
地域の清掃や、公園の花壇の手入れなどを行っている自治体もありますので、自分たちの住んでいる地域を自分たちで作っていきながら介護予防をするのもとても良い活動です。
まとめ
介護予防は本人の少しの勇気、周囲の理解、協力だけで驚くほど予防でき、健康寿命も延びて豊かな人生へと変化することでしょう。
ご自身が楽しむこと、周囲と関わりを持つことが介護予防につながります。毎日を過ごす住環境の整備も忘れずに整えましょう。
方々が取り組むことによって可能性が広がります。
介護予防に興味がある方のために、介護予防とはどういった考えか、実際にどういったことをすれば良いのかなどをまとめました。一生のうちで健康な期間を長く保つためのヒントをいくつもご紹介しています。



